Heaven 


 カーテンをしっかりと閉めなおし、彼、藤堂昭仁はベッドで待つ俺の上にゆっくりと覆い被さった。胸を触れといわんばかりに張り出し、俺の体を跨ぐ。自分でネクタイを解き上着を脱ぐと、名残惜しそうに見つめながら床に落とした。その手で俺の股間部分に触れ、ファスナーをゆっくりと下ろす。
「藤堂。理由は何だ。」
「理由は・・。」
彼はそう言った後、また口を噤んだ。開けたファスナーに手を入れ、手探りで俺のモノを外に出す。まだ柔らかいそれをゆっくりと扱くと、むくむくと立ちあがり硬くなった。藤堂はそれに口付けをし、舌でゆっくりとなぞる。咥えては先端にキスをし、自分の唾液を拭うように舐める。熱い吐息をかけられ、時折吸われ・・。視覚的にも卑らしい光景はゾクゾクとした快感を呼び覚ます儀式のように思えた。藤堂はその手を止めると、自分のYシャツのボタンをはずしていく。白いシャツを脱ぐと、すでにピンと立ちあがった乳首が欲情させた。
「聖さん。私を・・。抱いてください。もう、あの人の代わりは・・。」
藤堂の顔が近づく。顔を押さえられ、舌を絡める。
「私は・・。今、いる人の代わりは・・。嫌です・・。だから・・私を・・。最後に、私を抱いてください。」
強い求めのキスを何度か交わし、俺は彼の体をベッドに沈ませると耳元に唇を寄せた。
「代わり?」
「・・ええ・・。もう・・。だから、最後に。」
「俺が何時。誰の代わりを求めた?昭仁。」
「え?聖・・さんっ・・・?」
首から鎖骨。胸、乳首に至るまで丁寧に舐め上げていき、その突起に軽く歯をあてた。ピクンっと小さく跳ねる体。その感触に浸りながら、俺は一旦彼の体から降りた。
「自分で脱いで見せろよ。」
憂いだ瞳の彼は、自分の手でベルトを抜き取ると、少し躊躇いながら下着といっしょにズボンを脱いだ。恥ずかしそうに足でそれを隠す素振り。処女のようだ。
「自分で足を開いて。その手で扱いて見せろ。お前が見たい。」
藤堂は覚悟したように唾を飲みこみ、軽く髪を書き上げた後自分のものにゆっくりと手を伸ばし触れ、曲げていた膝を徐々に開く。始めはぎこちなく擦っていたが、段々と手馴れた手つきに変わり早くなっていく。だが、膝がその行為を覆い隠そうと閉じてきたので開いてやった。
「ぁはっ・・・っ」
堪えきれず漏れた声。同時に体が強く跳ね、擦りあげていたモノから白い粘液体が飛び出る。それはその部分を覗き込んでいた俺の頭に降り注ぎ・・・。髪を伝わり、頬に落ち口元まで流れ着いたので舌先で舐め取った。藤堂のソレを深く味わったことがないので新鮮だ。
「ちょっ、ま、待ってください!!やめてください。そんなっ・・っ・。」
恍惚感に浸る事もなく、彼はすぐに俺の髪のモノを拭い去ろうとするので、俺はわざと彼をベッドに突き倒した。手で粘液を拭い取り、彼が自分で扱いていたモノに擦り付ける。少し弾力のあるソレを軽く握り、刺激を与えるとすぐに硬さを取り戻す。ソレを思い切り口に頬張り、歯を当て、舌を絡ませ吸いつく。体全体が悶えるかのように震え、その手は声が漏れるのを防ぐよう口にあてられていた。それでも微かに聞こえる喘ぎ声。
「ンふっ・・っ・・」
耐え切れなかった。彼は腰を振ると、俺の口の中に二発目を発射し、ぐったりと体をベッドに横たわらせた。荒い息だけが止まらず、胸が激しく上下する。一気に飲みこめず、口から溢れたものを手の甲で拭い、その手を舐める。俺はそのまま彼の体に覆い被さり、キスをすると動く方の手をずるずると彼の体に這わせていき・・。下半身の一つの穴に中指を滑りこませた。ゆっくりゆっくり。中を確認するように。指を回す。
「あ・・あ・・っぁ・・・・っ」
もう、その声は防げない。藤堂の手は一つは自分の体を支え、一つは俺の体を支える。俺はこの体を、腕では支えられない。片腕は仕事中・・。
「あ・・っんっ・・っ。ひじ・・りっさんっ・・・。」
「何だ。俺を誘っておいてもうギブアップか?俺は一発も抜いてないぜ。」
服も着たまま。彼の中に挿入た中指を深く、強く出し入れし、出入り口が柔らかくなったのを確認し二本目の指、人差し指を入れる。藤堂のイイトコを何度も何度も爪かくように刺激し、彼はその快感に耐え切れなくなったのか逃げるように仰向けだった体をひっくり返し、四つん這いになった。さっき抜いたばかりのモノからはもう、白い粘液が零れている。四つんばいの、その腕にも力が入らないのか、彼はお尻を突き出したような体位をとり、その顔をベッドに埋めた。何度も何度も頭を振り腰を引こうとする。ベッドの布団に押しつけていても、喘ぐ声は聞こえた。そろそろ・・。焦らすのも限界、か・・?俺は彼の突き出したお尻のほうに回りこみ、指を抜いた。指に絡まる体液を自分のものに絡め、十分にほぐれたその穴にモノを突き上げた。
「ひっっ・・あ・・ぁ・・・っっ」
藤堂は布団から顔を上げ泣くような声を出す。ず・・ず・・と、腰を動かし、徐々に早く。時々回し・・。動く手を、藤堂のモノに伸ばして握り、そっちも強く扱きつづけた。
「あ・・ぁ・・ふ・・ぅ・ふぁ・んっ」
それでもまだ堪えている声。ここじゃ、せいせいと声は聞かせてくれない、か。深く、強く。激しいほどに腰を揺らし、一番奥まで突き上げるとその奥に一発発射した。同時に藤堂の三発目が布団に降り注ぐ。彼からそっと引き抜くと、入りきらなかった白い粘液がとろりとそこから漏れだし、太腿を伝っていく。藤堂はふっと息をつくと、そのまま倒れこみ意識を失わせていった。彼の体に、彼の上着をかけると、机に置き去りのままの珈琲を一口喉に流し、煙草をくわえてバスルームに足を向けた。


 「も、っもうしわけありません。あの・・。」
「ン・・。ああ、起きたか。」
乾いたサンドイッチを口に運びながら、仕事に取り組むこと何時間・・。時々、転寝をしたので今が何時かわからないが、事務所は昼でも夜でもブラインドが閉じてあり明かりをつけてある。藤堂は素早く身支度を整えようとベッドから立ちあがろうとした途端。へなへなと床に座りこんだ。
「あ・・え・・?」
「へぇ。腰が抜ける程よかったか?昭仁。」
「ひ・・聖さん・・・?!」
「ん?」
「・・ずるい・・。ずるいですよ。」
彼は俯き呟く。
「最後に・・。名前で呼ぶなんて・・。」
「あ?誰が最後だって言ったよ。お前は誰の代わりでもない。俺が抱きたいときにお前を抱いていただけ。今日は、お前が誘ってそんな戯言呟いただけ。」
藤堂はしばし、俺の顔を見上げていたが、自分の姿に気がついたのかベッドシーツを体に手繰り寄せた。が、何故かほっとしたような安堵の表情を見せ、軽く笑う。
「私の・・。早とちりだった・・訳ですね。」
「は?」
「あ、いえ。・・。失礼します・・。」
彼はうやうやしく立ちあがると、カーテンの隙間から事務所に誰もいないことを確認してそそくさと出ていった。