Heaven 


 胸に軽い重み。口を塞ぐ柔らかな感触。髪に触れられ、俺は目を開けた。顔の上には、俺の顔を見下ろす御厨の穏やかな微笑みがある。金の髪が俺の前髪に絡み付き・・彼からのキスを眼を伏せて受けた。
「おはよ。聖さん。王子様のキスでお目覚めだね。」
細く笑む青い瞳。頬に手を伸ばし、肌に触れる。彼はその手に手を重ね、頬擦りした。
「あれがキス?お前、キスの仕方知らないのか・・?」
彼の誘う瞳につい欲情してしまった。重ねられた手を引き唇を吸い寄せる。舌を入れ絡ませようとしたらグイっと身体を離された。
「今は駄目だよ。これからライブだし。これ、衣装。かっこいい?」
俺の体に馬乗りになりながら、彼は背広の上着を広げて見せた。藤堂のようにきつく巻かれたネクタイは黒。シャツはコンクリート色。スーツはデニム地で、ズボンは黒い皮。誰が見立てたのか・・。俺はそのネクタイに手を伸ばし、するすると緩めて引き抜いた。
「ちょ、ちょっと・・。」
「似合わない。その上着も。」
「これも駄目?」
彼はしぶしぶ上着を脱いだ。
「ちぇー。まゆらさんみたく、誉めてもらおうと思ったのに。」
口を尖らせた彼を引き寄せ、その反動を使って彼をベッドに寝かせた。シャツを引き千切りボタンを飛ばす。御厨は多少の抵抗はあったが、もう脚の付け根のものは硬く膨らみ・・。
「今日、社長居ないもんね。」
子供のように笑って見せた。彼に誘われている。ペースに乗せられるように肌に触れ、その味を確かめる。背中に回された手が力強く欲情をかき立てる。だがそれよりも今は彼を抱きしめたかった。背中に手を回し、強く強く引き寄せる。髪にキスをし、頬を摺り寄せる。俺は・・。仁也にこうしてやりたかった。ただ、抱きしめてやりたい。それを今代わりの様に御厨を抱きしめる。彼は突如俺を引き離し、俺をベッドに座らせるとゆっくりと俺の胸に寄りかかるように額を着けた。俺はそれを引き寄せて抱きしめる。俺より二周りほど細い肩幅。長い手足。肩を抱き、髪を撫で・・。背中に回る細い腕が手繰り寄せるより強く彼を抱く。口元にある額にキスをして・・前髪に頬を摺り寄せて・・。シャツの裾から手を入れ、背中の肌を撫で上げる。胸にかかる熱い吐息。俺の背中に回った手に微かにかかる力。少し身体を離して動かない手で彼の顎先を上げ、見つめ合い。キスを・・。唇を味わう。舌先で彼の唇を舐めると、また彼の口を塞ぐ。彼を抱きしめ、額にキス。背中の肌をなぞりフッと漏れる息を聞き・・・。細い首に吸いつき、ヴァンパイアのように歯を立てた。その歯形をそっと舐め、また歯を立てる。動かない手でシャツを下ろそうとしたが、それは彼が自分でそれを脱いだ。御厨の手が俺のパジャマを脱がせる。もう一度彼と見詰め合い、そして彼をベッドに倒した。
「聖さん・・。」
何か言いたげな口をキスで塞ぎ、彼に覆い被さる。ピンと立った胸元を頬張り舌先で弄くり、吸い上げて齧り・・。動く手で彼のズボンのボタンを飛ばしてそれを脱がせた。そそり立つそれを手で扱き十分過ぎるほど硬くさせながらイかせないように強く握り締める。先っぽに指の腹を当てこすり上げてから、ピンっと弾いてやると彼のものは強く脈打ち腰が浮くと同時に白い液体を吐き出した。声が聞こえない。ふと見やると、彼は両手で口を塞ぎ必死に堪えていた。強く眼を閉じ頬を赤らめ、荒ぐ息を押さえながら声を押し殺している。強く閉じられた目尻から涙が伝っていく。別に、辱めたいわけじゃない。無理やりに手を解いて声を聞いても今は意味が無いように感じて止めた。彼の腹に飛び散った粘液を指に絡めて口に運び味わいつつ、その指を唯一ある穴に触れさせると、彼はぴくりと腰を浮かした。傷つけないように揉み、強張った穴を緩めながら指を入れる。彼は足を閉じ、強く首を振ったが、俺はその指をゆっくりと中に押し込んだ。穴がきゅっと締り、中の体温を強く感じる。指先だけを動かして中を探ると、また穴がキツク閉じた。指が熱く湿る。指を抜くと、彼の体の力が抜けた。俺は彼の両手を口から退け、唇で塞ぐ。さっきより数倍熱くなった舌を絡ませながら、彼の足を開かせ、下の穴に俺のモノをあてた。
「ひっ・・聖さんっ・・。俺・・も・・。」
声を殺した嗚咽を呑みこむように首を振る。濡れた目許に髪が張り付いた。下に押し当てたものをそっと中に入れていく。先端だけ入りこめたが拒まれるように強く締め上げられた。
「ひっ・っ・・」
悶えたような声。動かない手で体を支え、動く手で彼のものに触れる。それを撫で上げながら俺はゆっくりの彼の中に浸入した。
「あっあっ・・ひ・・っひじりっさんっ・・ぁぁあ・っ・・っ。」
俺の背中に回る手に力が篭り、爪を立てられ。キスで口を塞ぐ。火照る肌を食む。手ででは無く、俺の腹で彼のモノを扱き上げ、腰を動かし・・。徐々に奥に彼の中に入りこむとストロークさせながら腰を回しこんだ。キツイ締め上げに果てそうになりながら堪え、腹には彼の堪えきれない粘液が塗られていく。俺の腰を縛るように彼の足は狭まり、背中に回された腕も震えていく。腹で擦り上げるそれももう達しそうな感じだ。ストロークする速さを早め、もっと、もっと奥へと入り、その一番奥へ先端を突き上げると弾けさせるようにその中に射精した。
「あ・・・っっっんぁぁっ」
彼の濡れた体が跳ねあがる。ピクッピクと痙攣し、そのまま力を抜いていく。
「ぁ・・ひ・・っ・・。」
荒い息に微かに漏れる声。憂えた青い・・瞳。果て、白い粘りのある糸を引く彼のモノはまだ微かに動いていた。俺は彼からそっとモノを抜き、彼のモノに触れる。顔を近づけその先端に舌先を当てると御厨は身体を引いてベッドの隅に丸まった。
「も・・もう・・・駄目・・。・・ゃ・・・・。」
首を振りながら懇願するような目で俺を見る。脅えた眼。・・傷つけてしまった・・?その眼が・・。俺の体を振るえあがらせた。あいつの、あいつの最後の顔。泣いたあの・・・青い目。俺を見るあの目が・・。同じ眼。居なくなる。・・・。俺のせいでまた・・。消える。目に涙が溜まり流れ落ちた。
「もう・・嫌だ。どうして・・。何故・・。なんで・・。」
「ひ・・聖さん?」
「イ、嫌だ。やめろ・・。来るな!!嫌だ・・。や・・だ・・。」
愛すと消える。目の前から居なくなる。恐い。寂しいのはもう・・嫌だ。
「嫌だ嫌だ嫌だ・・・。」
「聖さん?」
「嫌だ・・やめろ、来るな!!!!」
「聖さん!!」
御厨に抱き竦められ、俺はその胸の中もがいた。
「聖さん、聖さんっひじりさんっ。」
強い力に押さえられながら俺はその体を引き剥がそうともがく。
「嫌だ・・嫌だ。もう・・嫌だ。・・仁也のように・・消えられるのは・・・」
「俺は御厨学向!!」
そう叫ぶ彼の声に俺の体の震えが止まった。
「・・仁也さんじゃ・・無い。俺は消えないっ。ここに。ここに居るから。俺を・・この俺を見てよ!!ねぇ、聖さんっ。」
肩を強く掴まれ、体を揺すられ・・。体の力が・・抜け・・。
「聖さんっ!!」
彼の・・御厨の叫び声が耳に残り・・。意識が途絶えた。