コントラスト

    〜 不真面目な天使〜
 「タバコー??それより、君、自分の体がどうなっているか分かってるのか?」
「勿論。」
「かぁーーーっ。簡単に言ってくれるじゃないか。この、医者泣かせめ。」
「・・泣くのですか?」
「・・・・・。喩え話だって。」
立花とカイルの話し声で目覚めた俺は、部屋の奥の仮眠ベッドの中に居た。多分、立花が俺を移動させてくれたのだろう。医者というのは不思議で、80キロを越えるこの体でさえ簡単に抱き上げる。
「ああ・・。喩え話・・。やはり、日本語は難しいですね。」
「いや、君には簡単そうに聞こえるけどね。」
「何故?」
「だって君、半分は日本人だろう?」
「・・え?何故、分かるんですか?」
「顔の造りだよ。まあ、なんとなくだったけどあたったみたいだね。」
「ええ。」
そんな会話を耳にしつつ、俺は体を持ち上げて欠伸をし、背伸びをした。カイルの話し振りからして、だいぶ体調も戻ったようだ。よかった・・。安堵感が胸の痞えを消し去る。ベッドから降り、彼らのほうに出向くとカイルが穏やかに微笑んだ。
「お。起きたか。奴さんは激しい動きをしなけりゃ大丈夫だ。まあ、痛むだろうけどね。」
「・・ああ。そうみたいだな・・。」
カイルは、枕に支えられながら上半身を斜めに持ち上げている。だが・・・。体に巻かれた真白い包帯が、まだ鮮血に染まっているのを見ると安心もしていられない。ベッドの傍にある椅子に腰掛けながら、カイルの体を見つめた。
「何?」
「あ・・。いや・・。護れなくて・・ごめん。」
「そんなこと頼んだ覚えはない。あれは私の不注意。気に病むことはないよ。ただ・・。」
「ただ?」
「あのことを、君はどうやって忘れさせてくれるのか知りたいね。」
あの時・・。咄嗟に口走った言葉を思い出し、俺は赤面した。立花は何かニヤつきながら腕を組むと、その肘で俺の後頭部を突付く。あの、衝撃のせいでタンコブができたのか、突付かれたところが妙に重く痛んだ。
「何だよ・・。」
「お前ら、いつの真にそういう仲になったんだ?たった五日の内に、お熱いね〜。」
「ばっばかやろう。そんなんじゃ・・。」
ふと、カイルの顔を見やると、彼は口元に手を添えて軽く笑っている。その手にも巻かれる包帯・・。笑ってる場合じゃなく、痛々しい・・。その綺麗な顔が、一瞬曇り、すぐさま立花はカイルの体の下にある枕を取り外して彼を寝かせた。
「もうしばらく安静が必要だね。」
「・・。いえ。もう、行かなくては・・。」
「無理だといっているんだ。つまり、ドクターストップ。医者の言葉は聞けよ。」
「・・。すみません。もう、そうしている時間は・・ないんです。治療はありがたいと思います。だけど・・。」
立花はふと、俺の顔を見下ろし、俺は視線をあわせた。
「ずっと、時間がないっていってるけど・・。カイル、ちゃんとしたことを話してくれ。あの場所で見たあの荷物は何なんだ。あの男達との関係は・・?」
カイルは小さく首を振った。知らなくていい。知らないほうがいい。そう、小さく呟く。
「そうもいかなくてね。事情を知ってなければ、ここの薬品を無断で拝借した理由付けにならないじゃないか。そりゃ、適当なことを言ってもいいけど・・。」
「おい・・立花。それ、脅ししゃ・・。」
「そう。強請をかけているんだ。お前だって、命を懸けたんだ。知る権利はあるだろ?」
じっと押し黙っていたカイルは、小さく、口を開くがまた、黙ってしまう。そして無理やり体を持ち上げると、かけてあった布団を剥ぎ取って床に足を伸ばした。立ち上がろうとしてふらつき、その体を俺が抑え・・。
「何を言っても無駄って事かな。完治には安静が一番無難なんだけど。」
「・・・すみません。事が済み次第、話します。母の国にとって・・。命には代えられない。」
俺の腕の仲で、力を込め立ちあがろうとするカイルの細腕が小刻みに震え、顔が苦痛に歪む。命より大事な任務・・か。分かるような、分からないような・・。
「わかったよ。まず、どこに行きたいんだ?」
カイルは俺を見上げ、か細く笑った。不安そうな顔・・。それでも、決心は鈍らない、か。
「おいおい・・。笹川・・。」
「大丈夫。今度こそ、俺がナイト様になってやる。カイル。どこに行きたい?」
「・・・。まず、君のうちへ。服を取りに行って・・。」
「OK。ただし、無理はするなよ。」
俺は立花と視線を巡らせた後に、カイルの体を覆っていた布団を彼の体にぐるぐる巻きに巻きつけた。これで無駄な身動きはできまい。そのままカイルを抱き上げた。
「立花。止血の方法教えてくれ。」
「・・。」
立花は、仕方ないといった表情をしながら、俺の体でそれを教えた。
「まあ、つまりだ。脈打った場所を押さえれば血は止まる。彼に痛み止めは効かないから、そのつもりで居ろよ。」
「・・ああ。」
何故、そうなのか。それを聞くのはまだ早いらしい。立花は顎で、部屋から出ろと指し示し、俺はカイルを抱き上げたまま部屋から出て置き去りにしておいた車に乗せた。シートにはまだ、おびただしい量の血糊がこびり付いているが、見てみぬ振りをして助手席のドアを閉める。病院の部屋の中から手を上げる立花に軽く手を上げ、俺は車に乗り込んだ。
 車の振動がカイルの体力を消耗させていくのが手に取るようにわかる。顔が歪み、息遣いが荒くなっていく。会話もない。一刻も早く・・。そう願いながら車を走らせ、アパートの前に車をつけるとすぐさま彼を抱き上げ、部屋に入り、ベッドにカイルを寝かせる。ぐるぐるに巻いた布団を剥いでやると、その布団はカイルの汗でしっとりと濡れていた。
「・・痛むか?」
カイルは小さく首を振る。強情な嘘吐きだな・・。彼の服を取る振りをして、部屋に置き去りにしてあった煙草を拾い上げ口に運ぶ。火をつけ、紫煙を燻らせると、そっとカイルの口にタバコを運んだ。彼は、俺の手を借りながらゆっくりと煙草の煙を肺に入れて・・。一度ふかさせたタバコは、すぐに俺の口に戻った。
「・・匠斗。」
「ん?」
「今すぐに・・。忘れさせて・・。」
「・・・。」
「忘れることができたら、無茶・・しないから。」
「・・できなかったら?」
「ふふふ・・。」
それは愚問。といいたいような含み笑い。俺はベッドに膝をつき、カイルに覆い被さるようにして彼の唇に自分の口を合わせた。カイルはゆっくりと目を伏せ、俺の首にそっと手を伸ばす。二度、三度・・。唇を交わし、カイルの体から離れると、カイルは俺の胸に手を当てた。
「・・。」
無意識に煙草をもみ消し、もう一度カイルと視線を交わらせ・・。キスを・・した。
首もとの汗を舌ですくうようにして舐めとり、肌を味わう。ピクリと動くカイル。その髪に手を伸ばし、頭を撫で安心させながら、包帯からはみ出ている胸の突起を口に含んだ。
「・・ぁ・・。」
カイルの口から声が漏れ、否応なく体が引かれる。その腰下に手を差し入れ、体を安定させ・・。髪を撫でていた手を下ろして太腿に触れた。病院の薄手の寝巻きを剥ぐと、すぐに下腹部のモノに触れる。カイルは俺の胸に爪を立てた。こんなことをして、忘れさせられるならいくらでも何度でもしよう。だけど、それが深いトラウマになったら??躊躇が見破られたのか、カイルは微笑した。
「男の私は抱けない?」
「・・。いや・・そうじゃ・・。まだ、全快じゃないし・・。」
「全快なら、私に乱暴できる?」
「ら・・らんぼうって・・。」
「強く。激しく。僕を君のものにするが如く。」
カイルの金茶色の瞳が強く光る。挑発するようなその口元・・。だけど、手が震えてる。あのときの恐怖に打ち勝つように自分を奮い立たせているだけだ。だけど、優しくすればするほどカイルの中の何かが怯え、狂うのだろう。強く抱かれたい。そう、望むのならば・・。
もう一度カイルに口付けし、そのまま舌を押し込んだ。突飛な事で驚いたのか、カイルは顔を背けて嫌がるが、その顔を押さえてもう一度キスをして舌を入れる。口の中のすべてのものに舌を這わせ、その感触を味わうとカイルの強張った体が少し和らいだ。痛みからではなく、恍惚感から涌き出る汗・・。太腿に触れていた部分も濡れてきている。その、先にあるものも・・。カイルの腕を俺の背中に回し、カイルのそれを手で覆った。カイルの体が跳ねる。下のものは、まだ半分柔らかい。それをゆっくりと指の腹で擦り上げると、彼は俺の体を強く抱き寄せて耳元に小さく声を上げた。荒く、熱くなっていく呼吸・・。指先で先端を摘み上げると、体を反らして・・。
「・・もっと・・。」
要求する言葉で、俺はさらにモノをしごき上げた。悦楽と、恥じらいの表情。こちらまでもがゾクゾクと体を奮わせられる。首や胸の肌に吸い付き、舌先を転がし・・。手の中で、ツプリと溢れはじめるカイルの体液を手に馴染ませ、なおソレをしごき上げた。
「あ・・・はぁ・・っ・・。ふ・・・。」
声はもう、言葉じゃない。淫らな喘ぎ声に変わり、俺の背に回された手にも汗が滲んだ。もう、全身が濡れている。綺麗なその体に汗の雫が伝わり、ベッドシーツに落ちていく。
「ぁあっ。」
カイルは激しく仰ぎ、体が強く跳ね、俺の手の中にはヌルリとした液体が吐き出された。息を荒くしたカイルはベッドに体を預け、息を落ち着かせようと目を伏せる。ソレを妨げるようにして唇を奪うと、俺は自分のモノをファスナーの隙間から取り出してカイルの体液を塗りつけた。二、三度しごきあげ、硬くさせる。ゆっくりとカイルの腰を浮かせ・・足を開かせ、俺の腰をぴたりと押し付けた。ゆっくりとその穴に先端を触れさせ、カイルのぬめりと共に押し込んでいく。
「あ・・あ・・。」
「楽にして・・。」
強張っていく体を宥めながら、俺はゆっくりとカイルの中に入っていった。カイルはシーツを掴み顎を上げ仰ぐ。意外にキツイ中は、体温より熱く思えた。一番奥まで入り込むと、今度はゆっくりとソレを引き出す。徐々にそのスピードを早めカイルの泣くような声に耳を傾け・・。腰を支えていた手でカイルのモノを再び包み込み、その全てに触れた。体全体がふるえ、そのときを待つように汗ばむ。そして・・・。今までの中で一番早く、一番奥までカイルの中に突っ込むと、俺はその中に射精した。体を反り返させ動きを止めるカイルの体・・。その体はゆっくりとベッドに沈んでいく。そっと、中から自分のモノを抜くと、自分のものがその中からとろりとあふれ出た。目を閉じていくカイル。その髪に触れ、その髪にキスをして・・。優しく、布団をかけた。
俺はしばらく行為の余韻に浸りながらタバコをふかし、軽くシャワーを浴びて部屋に戻ると、どこかで何かが鳴っている音に気がついてあたりを見回した。自分の携帯は確か、車の中に置き去りになっているはずだ。あたりを見回し、ふとカイルの上着が気になって探る。すると、上着の内ポケットの中からポケベルのような小さな機械が現れ、ソレが赤く点滅している。液晶画面には暗号のような文字。カイルが、上着を欲しがったのはこれのためか・・。ソレの止め方はわからず、仕方がないので音の響かないクッションの下敷きにしておいた。
もうしばらく寝かせよう。目覚めるまで・・もう少し・・。
願うことなら、今まで全てのことを忘れ去っていてくれれば・・。本望だ。








笹川匠斗 ささがわたくと 
 33さい  182センチ
カイル・ハウザー 
  27さい  176センチ
立花
  医者。詳細なし。
  ・・・いい人かも。


〜注意〜
 カッコ 『 』 は、英文だと思うように。
 読めるが、読めない振りをしよう!!
 高校のとき。いや、中学から。英語を捨て去っていたためにこうなる・・。
 今思うと、必要だけどねぇ。
 日本語もろくにできないので、まあ・・いいか。←何が?と突っ込みは遠慮。