・・・。彼女。フラネルロの胸の膨らみに顔を寄せながら、背中にあるファスナーを音高らかに下ろす。均整を失った服は肩から徐々に崩れていき、その柔肌が露になる。
後ろで激しく鳴り続ける電話。そんなものもただのバックミュージックになりつつある思考・・。
黒いレースのブラ。その小さな布から溢れそうな乳房。布を人差し指でずり下ろし、プルンとはじけた突起を思わずほうばると、舌先で先端を味わいながらあま噛みした。
高揚した表情で俺を見下ろし、両腕で俺の頭を抱く。なぜか、俺がソファに押し倒され、おとなしくその乳首を吸った。ベビープレイは好みではないが・・・・。彼女のくびれた腰まで服を下ろし、代わりに・・か、俺は上着を剥がされた。
「ねぇ。あんたって、謎だらけだけど・・。」
「それが?」
「何者なの・・?」
「・・さあな。お前こそ、何者なんだよ。」
両者とも同じくして含み笑い、彼女は俺の腰の上に乗り込んだ。俺は彼女のスカートを腰のあたりまでたくし上げると、下半身を覆う小さな布をずらす。これだけで濡れ始めている陰部に指を当てると、彼女の腰は少し持ち上がった。
「へぇ。触る前から濡れてんジャン。卑猥な女だな。」
「・・なによ・・。」
いつもは強く突っぱねる言葉も穏やか。そればかりか、もう息が荒く・・・熱い・・。
「欲しいのか?」
「あんたがねだったんじゃない・・。」
「そうだっけか?」
「・・もう・・。焦らさないで・・。」
張り詰めた胸を両手で包み込み軽く揉み解す。程よい弾力・・。つんつんに突き上げてくる乳首をきゅっと摘み上げ、こりこりと音が鳴るほど弄った。胸元に滲んでくる汗は谷間に流れて・・一つ臍に溜まる。乳房を揉むのをやめ、もう一度腰もとの小さな布をずらしてその隙間に手を入れた。親指に触れる突起。それをちょいちょいと弄ると、掌に滑りけが落ち、彼女の体が細かく揺れる。フラネルロはゆっくりと息をつくと、俺の腰元を探り出し細い指で扱いた。全身・・より、脳が強く感じる。そのおかげで、俺のものは簡単に突っ立ち、覆い被さる彼女の体の中にゆっくりと挿入されていった。久しぶりに感じる女の体の中。・・熱い・・。上下に動く彼女の体に合わせるように腰を動かし、俺はいきなり彼女をベッドに押し付けると足を大きく開かせ、力強くその中に出入りした。耳に心地良い彼女の喘ぎ声・・。その中の伸縮運動と、ねっとりと濡れた潤滑油。女を久しぶりに抱いたせいか、否認云々を忘れ・・。その奥にありったけのものを流し込んだ。ずるずると中から這い出して彼女の体に覆い被さり、その乳房の中に顔を押し込む。甘い・・良い香りがする・・。彼女の細腕に抱かれ、肌の匂いを嗅ぎ・・・。全てを忘れそうなくせに、何か昔を思い出すような・・。
「・・さてね。」
魅力的な唇に指を入れたかったが、やめた。体を上げ身支度を整えると、カップに残っていた珈琲を喉に流し込む。ふと、フラネルロを見ると淫らな姿で横たわっているので、写真でも撮って後で脅そうかと思ったがやめて散らばっているタオルケットを投げておいた。
時計の針は現在午前十一時五十八分。・・・。そろそろ、動き始める時間か・・。昼飯を食う時間帯だな。真昼間に行動する輩が見つからないのは、それなりの理由があるんだが・・。
「いくの?」
「ん、ああ。まあね。楽しかったぜ。」
「ふふ・・。まあまあね。」
「まあまあ・・か。」
俺は肩を竦めつつ、眉を上げた。そのまま電話口に行くと、都合よくベルが鳴る。見張られているような感じだが・・。よしとしよう。受話器を上げ、耳につける。
「久しぶりだな。ルネ。今から会えるか?」
「・・誰だ?」
聞いたことのあるようなないような・・。訛りのない機械的な声・・。
「会えばわかる。」
「・・かもね。」
「相変わらず単純な男だ。では、パークで待つ。」
相違って電話は切れた。おい・・。どこのパークだって?呆れながら受話器を眺め、置いた。どこの誰だか知らないが、会えばわかるというんだ。取り敢えず会っておくか・・。
ため息交じりに頭を振りつつ、冷蔵庫で冷やしておいたアイマスクを額に当て、家を出た。
どこのパークだかは知らないが、家から一番近い小さな公園に足が向く。子供が数人遊ぶその場所に、ポツリと置かれたベンチがあり、そのベンチに腰を下ろす黒いコートの人影。何気なく近づくと、その影は立ちあがり俺のほうを振り向いた。どこかであったような・・。
「久しぶりだな。ルネ。」
「・・そうだっけか?誰だ、お前。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。惚けてるつもりか。」
「いや・・。別に。脳の回路は壊れちゃいないような気がするけどね。」
自分の頭を突付いて見せたが、目の前の人物の顔に表情はない。男か。女か。それすらもよくわからない風貌。身長は俺と同じぐらいで痩せがた。ただ・・。黒いコートが曲者で・・。
「昔から変わらないな。」
「・・昔?」
「ああ。Dが、よく笑う訳が分かるような気がする。」
「D・・??」
「しかし、本当に覚えていないんだな。人間の脳の記憶力は計り知れないというのは嘘か。」
「・・・???人は忘れることができるから生きられ・・・。」
そう・・。そんなことを随分前に言ったような気がする。消してしまったのか、消えてしまったのか分からない記憶のスミ。
「今のお前に言っても仕方ないが、伝えておく。」
「・・。」
何か引っかかる言い方・・・。やな奴。
「Dが、怪訝していた計画が動き始めている。お前はそれを止めるのであろう?」
「・・・だから、Dってなんだよ。俺が何をしろって?」
「止める。だから、お前も動き始めているんだろう。」
・・話がチンプンカンプンだ。噛み合ってないし・・。
「Dの記憶。それを受け継ぐものを今、作ったじゃないか。」
「はあ??」
「お前の体は・・。」
静かな言葉が続くと思いきや、天地をひっくり返さんばかりの悲鳴があたりに響き渡った。
「わりー。話は後でな。」
「おい・・ルネ。」
「んじゃ。」
奴に軽く手を上げ、俺は悲鳴の聞こえた方向に走った。そう言えば・・。名前、聞かなかったなぁ・・・。
あるビルの裏路地に回りこむと、女が座り込んでいた。話を聞こうとその女の方に手を触れるが、女の体はそのまま倒れこみ崩れた。心臓を刳り抜かれているが、血の一滴もない。
「・・やられた・・か。」
悲鳴・・。けたたましい悲鳴を上げたのだから、犯人を見ている。か、他のものを目撃したのか・・。あたりを見回すが死体はない。血の滴り落ちた後もない。ただ・・。匂いがする。
生臭い、暖かい・・血の匂い。その場にぼんやりと立ち尽くしていると、俺の後ろに車がついた。ドアを開ける音が聞こえ、『手を上げろ』と命令され、仕方なく片手を上げて振り向く。
「な、何だ・・。貴方でしたか・・。」
そんな声に顔を上げると、よく家にくる刑事が二人で銃をしまいこんでいるところだった。
「・・・おい。O型の方さ・・。」
「はい?」
「ちょっと・・。」
確か、ダグラスとか言う名前の刑事を呼び寄せ、その男の右腕を掴み上げた。男は不可思議的にその腕を眺めているが、俺はお構いなしにナイフを取り出し、その腕のよく血が滴りそうな部分にあてがった。そして何の躊躇もなく切り裂く。男は俺の手を振り切って、その患部をぎゅっと握り締めた。
「なっなにするんですか!!!」
「・・・。囮。」
「囮??」
「・・。」
俺はもう一度、ダグラスの腕を掴み上げ、転がる死体の女の体にその血を落とさせた。一滴、二滴・・。赤い鮮血が女の体に付着していく。
「あ・・あの・・。」
「ああ。もういいぜ。ただし、俺の近くにいろよ。」
ダグラスはぽかんと口をあけたまま、再び腕を押さえた。もう一人の男がダグラスの腕にハンカチをあてがい手当てする。その二人を少し遠ざけ、女の腕を掴んで立ち上がらせた。ダグラスの血が、女の体を伝って地面に落ちる。赤い・・・赤い雫・・。ミルククラウンのように綺麗な形で大地に刻まれていく雫。
「・・・。まだ・・残っていたのか・・・。」
不意にそんな声が聞こえ、俺の手から死体が奪い取られた。目の前で行われる死体解剖・・。150センチにも満たない小さな体の男が、長い舌をチロチロと這わせながら女の体につく血を舐めとっていく。その小柄な男は全身真っ白な服だが、血の一滴も浴びていない・・。あるのは不快な血の匂いだけ・・。
「そうさ。お前は失敗したんだ。」
「・・・。」
「誰にも見られない。誰にも騒がれない。一つの痕跡も残さない。・・・・。言われただろう?」
「・・何故・・知ってる・・。」
「さぁね。」
男はゆっくりと振り向くと、俺よりもその後ろにいるダグラスの腕の赤さに惹かれたらしく、目に見えない速さで飛び、気がついたときはダグラスは路上に押し倒されもがいていた。もう一人が男を引き離そうと手を拱いている。
「なあ、おい。お前はもう、用なしだぜ。役目を果たせなかったんだから、おとなしくしろよ。」
「ちょっそんなっ。」
「何とかしてくださいよっ。」
刑事が口々に叫ぶが、別に放っておいても支障はない。小柄な男は、必死にダグラスの腕に舌を這わせようとしていたが、やっとのことでその血液に触れた。それなのに、すっくりと立ちあがり、呆然としていたがやがて顔が怒りの表情に変わっていく・・。
「やっと気がついたのかよ。間抜けだな。」
「お・・おま・・お前・・・・・・・・。騙したのかっ!!!」
「ああ。すぐに気がつくと思ったんだが、味音痴なのか?」
男は俺めがけて飛び上がり・・。俺は持っていたナイフを男の舌に突き刺した。男の飛び上がる体重で、小さなナイフは程よく突き刺さり、押し潰されないよう体を叛けると男はそのまま地面に叩きつかった。ナイフが喉の措くまで到達したらしく、男は身動き一つしない。そればかりか、ゆっくりと地面に赤い水溜りが沸き、呪われた泉のように吹き上がる。男の体を足で突付き仰向けにすると、舌に刺したナイフを取り上げ男の白い服で血を拭った。
「あ・・あの・・。ロウさん・・・。」
「ん・・。あぁ、本部呼んで。一応、終わりだぜ。」
「あ、はい!!」
ダグラスは車に乗せられ、もう一人が無線を使う。その間に男の服を破き、胸、つまり心臓のあるあたりを探ると、チップが現れそれを何気なく回収した。本部が到着すると同時に、嫌な男。ルーブルもご登場になり、そいつとすれ違いざまにポケットにチップを滑り込ませる。
「・・ご苦労。」
「ああ。何に使うかしらねぇが、俺が先に掴んだら壊れちまうんだぜ。」
「・・なに?」
「じゃあな。」
耳元でそう呟き、奴に背を向けた。
  俺が掴むと壊れる
どうして、そんなことを知っているのか。いや、何で・・・。俺はあいつらのチップの在り処が解るのか。チップって・・・なんだ・・?
「・・取り敢えず、帰るか。」
でかい独り言の後に足は家路に向くが、妙なため息が漏れた。













こんなところで人物紹介もなんですが・・・。



  ルネ・モール・ロウ
   訳のわからない男。一応、語りでのような主人公のような・・。
   掴みやすいような、掴みにくいような。
   もともと、刑事さんだったらしいですけどね。
   頭から電波を飛ばす。アナタは・・機械ですか・・??

  レディー・フラネルロ・バース
   いい女。ってモノを連想してください。
   ワンレンで、唇が赤い・・・。しなやかな腰つき・・。などなど。
   いわゆる。悪女って者ですか。
   


 ルーブル警視
  主人公の同期だったらしい人物です。
  主人公を頼りにしているんですが・・・。
  警視になるには、ちょっと早すぎですかね・・って年頃。
  ルネさんとは同い年。・・だと思っております。
  ・・彼は謎が多いですからね。
 とても,金持ちらしいです。


 ダグラス刑事
  O型。
 特徴といえば・・。グレーのスーツ??
 ようやく名前が出た彼である。


 まだ。名前がない。
男女の区別もわからない謎の人。
季節は・・どうか。わからないんだけど。
コートを着ているんだね。